【インタビュー】小学生からのプログラミング教育について

2月 28, 2017
quest

ジュニアプログラミングクラブQUESTのマサHC(ヘッドコーチ)に、プログラミング教育についてお話しを伺いました。

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– 今、プログラミング教育が様々なメディアで盛んに取り上げられています。なぜ今、これほどまでにプログラミング教育が注目されているのでしょうか?

先日、文部科学省が、小学校でプログラミング教育を必修化、2020年からの実施に向けて検討すると発表しました。
背景には、政府が成長戦略の柱に掲げる、AI(人工知能)などを駆使した「第4次産業革命」実現に向けてIT人材を育成するという狙いがあります。
今後ますますIT関連事業の拡大が見込まれる一方、経済産業省の発表によれば、2030年には78.9万人のIT人材不足が予想されています。
プログラミング教育自体は今に始まったことではないのですが、政府や公的教育機関が動き出したことで、プログラミング教育に対する注目が一気に高まったのではないでしょうか。

– 今後、ますます需要が大きくなるエンジニアやプログラマーの確保は、国を挙げての目標ということですね。

はい。ただ、誤解して頂きたくないのは、プログラミング教育は決してエンジニアやプログラマーを目指す人の為だけのものではないということです。
確かにエンジニア不足というのはひとつの課題ではありますが、身の回りのあらゆるものにコンピューターが組み込まれているこの社会において、
「コンピューターとは何か」「コンピューターには何が出来て、何が出来ないのか」を知っておくことは、エンジニアに限らずとても重要です。
プログラミングを通じてコンピューターを知り、IT技術やサービスをうまく使いこなしていくための素養を身につけていくことが求められているのだと思います。

– 確かにパソコンやスマホなどの普及で、ITは限られた一部の人だけが使いこなすものではなくなってきました。

その通りです。そしてプログラミング教育から得られる効果は、ITの分野に限られたものではありません。
プログラミングで行う作業は、手順を決めることです。すなわち、必要な結果を得るために「何を合図に」「どういう順番で」「どのような命令を実行するのか」を考えて組み立てていく作業になります。これを習慣的に行うことで『論理的思考力』や『問題解決力』を育みます。
また、プログラミングでの創作活動を行うにあたり『想像力』や『発想力』、『表現力』なども求められます。
プログラミング教育はこの様に『総合的な考える力』を養い、クリエイティブな人材を育てるものだと考えています。

– プログラミング教育に関して、海外の状況はいかがでしょうか?

アメリカやイギリス、イスラエルなど、すでに多くの国がコンピューターサイエンス教育に取り組み、プログラミングを小学校や中学校のカリキュラムとして必修化しているところも出てきています。アメリカのオバマ大統領がプログラミング教育の必要性を訴える動画を公開したことも話題になりましたね。
General Electric(GE)社では、今後採用する社員は職種に関係なくプログラミング能力を義務付けるという方針を明らかにしました。
プログラミングはオプションスキルではなく、基本スキルになってくるということですね。

– なるほど、これからの時代の全ての人に必要な素養であることがよく分かりました。しかし、小学生にプログラミングというのはハードルが高いのでは?

プログラミングというと、よく分からない英数字や記号がパソコンの画面上に並んでいるのを想像される方も多いのではないでしょうか?
確かに、従来のテキストで記述するプログラミング言語を学ぶとなると、最初に構文などを覚える必要がありますし、構文のタイプミスなどがあればプログラムはまともに動きません。特にキーボードのタイピングに慣れていない小学生では、プログラミングの楽しさにたどり着く前に挫折してしまう可能性も低くはありません。

ですが今は教育用のツールなども充実していて、特に子ども向けの教育では『ビジュアルプログラミング言語』という視覚的なオブジェクトを組み合わせてプログラミングを行うものが主流となっています。ビジュアルプログラミングは、難しい命令を自分で書いたりするのではなく、命令のブロックをマウスを使って組み合わせてプログラミングすることができ、小学生ぐらいの年齢でも直感的にわかりやすいものになっています。
その代表的なものがマサチューセッツ工科大学のメディアラボが開発した『Scratch』で、QUESTでもこれを使っています。

– QUESTを立ち上げたきっかけは?墨田区で始めた理由などありましたらお聞かせください。

墨田区で始めた理由は、私自身が墨田区に居住しているからということですね。地元にこういうコミュニティがあると面白いなと思ったところから始まりました。
私自身もシステムエンジニアなのですが、ITベンチャーやコワーキングスペースなどの様な、エンジニアが集まる場やコミュニティは、東京23区でも西部に偏っています。
もちろん23区東部にも全くない訳ではないのですが、やはり西部に比べると数や規模が違う。東部でも、もっとITやエンジニアを軸とした色々な動きがあっていいのでは、という思いがありました。

そんな時にネットの記事でScratchを知り、「自分が子どもの頃にこれがあったらハマっていただろうな」と思いました。
子どもの時はレゴで遊んだり、絵を描いたり、もともと創作活動に関心が強かったのだと思います。
で、「せっかくこんな面白いものがあるのだから、少しでも多くの人たちに知ってもらいたい」と、ワークショップを開催したのが始まりです。
最初は単発のワークショップでしたが、参加した子ども達の反応を見て、継続的に取り組める場が必要だなと感じました。
その思いが、先ほどの「地元にITやエンジニアを軸とした面白いコミュニティがあれば」という思いと結びつき、今の形になっていきました。

– QUESTはただプログラミングを学ぶ場所でなく、コミュニティでもあるのですね。

QUESTは主に小・中学生を対象としたプログラミング教育の場ですが、関わるスタッフなども含めて見れば、そこに集まる人たちは多種多様です。
私の様なエンジニアだけでなく、青少年育成やキャリア教育の専門家、グラフィックデザイナー、プランナーなど。
子ども達の学習のお手伝いをするサポーターには、区内の高校のパソコン部に所属する高校生や、大学生もいます。
この様に、プログラミングやITの専門家だけが集まるコミュニティではなく、プログラミングやITを軸として多種多様な人たちが集まれるコミュニティというのが、私の思い描くひとつの理想の形でした。

– 多様性(ダイバーシティ)というのも、今社会で求められているキーワードのひとつですね。これはやはり、教育という面でも影響があるのでしょうか?

アウトプットの質・量は、その人のそれまでのインプットの質・量に比例すると考えています。
同じ様な属性の人たちが集まることで意味や価値が生まれる活動もありますが、「学び」という分野では、自分にない知識や経験、バックグラウンドを持った人たちと接するというのは非常に刺激的です。
QUESTに参加する子どもたちには、様々な属性の人たちに触れながら色々なインプットを蓄積していってもらいたいですね。
そこから学ぶものはとても大きいと思っています。

– 今後、QUESTが目指すものがあれば教えてください。

墨田区をベースに活動していますので、プログラミング教育を広めて、まずこの墨田区をプログラミング教育先進地区にしたいですね。
そして、QUESTというコミュニティを中心に、クリエイティブな人材が育ったり集まったりする環境や土壌を作りたいと思っています。

– 今日はどうもありがとうございました。

ありがとうございました。

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竹下仁(たけしたまさし)
墨田区在住。システムエンジニア/プログラマーとしてシステム開発に携わりながら、プログラミング共育で複数のプロジェクトに関わる。QUEST立ち上げメンバーとして、ヘッドコーチおよびカリキュラム開発などを担当。

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